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不動産鑑定士事務所における事業承継の大まかな流れ

  • hirohayaoffice
  • 2024年9月26日
  • 読了時間: 5分

不動産鑑定士業務の概要


1. 不動産の鑑定評価

不動産の適正な価値を評価し、報告書を作成します。この評価には、市場価値(売買の際の価値)、投資価値(収益性に基づく価値)、利用価値(実際の使用に基づく価値)など、複数の視点があります。


2. 鑑定評価の目的

不動産鑑定士が関与する評価の目的は、以下のように多岐にわたります。

  • 売買や貸借に伴う価値評価: 不動産の売却や購入、賃貸借契約の際に、その適正価格を算出します。

  • 担保評価: 金融機関が融資を行う際に、その不動産が適切な担保価値を持つかどうかを判断するための評価。

  • 相続や贈与時の評価: 遺産分割や贈与税の課税対象としての不動産評価。

  • 訴訟における評価: 不動産に関する訴訟や紛争の際に、裁判所や関係当事者からの依頼に基づいて評価を行う。


3. 評価手法

不動産鑑定士は、一般的に以下の3つの評価手法を使って不動産の価値を判断します。

  • 原価法: 建物の建設費用や土地の取得費用など、コストベースで評価する方法。

  • 取引事例比較法: 同様の不動産取引事例と比較して、その価値を導き出す方法。

  • 収益還元法: その不動産が将来生み出す収益に基づいて、現在の価値を評価する方法。


4. コンサルティング業務

不動産の適正な利用や、開発計画の助言など、広範なコンサルティング業務も行います。不動産投資や開発のリスク分析、最適な利用方法などを提案することも含まれます。


5. その他の業務

  • 不動産市場の調査・分析: 不動産市場の動向や価格の変動などを調査し、クライアントに提供する情報として活用します。

  • 地方自治体との連携: 公共事業や都市計画において、地方自治体と協力して土地評価を行うことがあります。


不動産鑑定士は、これらの業務を通じて、適正な不動産取引の推進や、不動産の価値に対する公平な評価を提供し、社会における不動産の有効活用をサポートする役割を担っています。



不動産鑑定士における事業承継の大まかな流れ


1. 事業承継計画の策定

まず、事業承継に向けた計画を立てます。これには、後継者を誰にするか、いつ承継を行うか、どのような手順で進めるかを決めることが含まれます。不動産鑑定士業務は資格が必要であるため、後継者が資格を持っているか、今後取得する予定があるかも重要なポイントです。

  • 後継者の選定: 家族内承継、社員への引き継ぎ、または第三者承継のいずれかを選定します。

  • 承継スケジュールの策定: 何年後に引き継ぐかを具体的に計画します。事業規模や状況に応じて柔軟にスケジュールを設定します。


2. 後継者の育成

後継者を育成するため、実務経験を積ませることが非常に重要です。これには、現行の業務の理解やクライアントとの関係構築などが含まれます。不動産鑑定士業務の特性を深く理解し、技術や知識を引き継ぐことが求められます。

  • 資格取得の支援: もし後継者がまだ不動産鑑定士資格を持っていない場合は、資格取得のためのサポートを行います。

  • 実務訓練: 不動産鑑定士としての実務経験を積ませるため、共に案件を担当し、実際の業務を通じて学ばせます。


3. 財務・税務面での準備

事業承継に伴う財務面や税務面での準備も不可欠です。特に資産を多く保有している場合、相続税や贈与税の問題が発生する可能性があります。専門の税理士や会計士と連携し、適切な手続きと対策を講じます。

  • 株式・資産の承継: 会社の形態や資産の所有状況に応じて、株式や資産の移転手続きを検討します。

  • 税務対策: 相続税や贈与税に対する適切な対策を行い、事業承継がスムーズに進むよう計画します。


4. 顧客との関係引き継ぎ

不動産鑑定士業務においては、クライアントとの信頼関係が重要です。そのため、顧客への後継者の紹介や関係の引き継ぎが必要です。段階的に後継者が顧客と直接対応する機会を増やし、信頼を構築します。

  • 顧客への引き継ぎ計画: 顧客とのミーティングや案件の対応に後継者を同席させ、徐々に担当を引き継ぎます。

  • 後継者紹介: 顧客に対して、正式に後継者として紹介し、信頼関係の構築をサポートします。


5. 正式な事業承継と引き継ぎ

後継者が十分に業務を理解し、顧客との関係が構築できた段階で、正式な事業承継を行います。これには、法律上の手続きや会社の名義変更、関係者への通知などが含まれます。

  • 名義や役職の変更: 法的手続きに基づいて会社の代表者や不動産鑑定士事務所の名義変更を行います。

  • 関係者への通知: 取引先や顧客に対して正式に事業承継が完了したことを通知し、今後の体制について説明します。


6. アフターフォロー

事業承継後も、前任者がサポートに回ることがあります。特に、顧客との関係や業務運営に関するアドバイスを続け、後継者が独立して運営できるようにフォローアップを行います。

  • 業務サポート: 必要に応じて後継者を支援し、経営や業務における問題解決をサポートします。

  • 顧客対応のフォロー: クライアントが新しい体制に適応するため、前任者も顧客対応に一時的に関与することがあります。


このように、不動産鑑定士の事業承継は、専門知識やスキルの引き継ぎに加えて、財務面や顧客対応にも配慮しながら計画的に進めることが重要です。


 
 
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